普通な衣装だったと思うアーティスト

去りゆく一年を思い返したり、もうすぐ始まる一年のことを考えたりと、大晦日は日本人にとってはただの三百六十五日の中の一日とは違う、特別な意味を持つ一日と言えます。そんな大晦日の夜に多くの人が見るテレビ番組の代表的な存在が、NHKで放送される大型歌番組の紅白歌合戦です。紅白歌合戦は放送回数が六十回を超える、とても長い歴史を持っている国民的な番組です。大御所のベテラン演歌歌手や十代のアイドル、新進気鋭のロックバンドなど、普段では共演することがないような幅広い世代とジャンルのアーティストが一堂に会するそのステージには、一年を締めくくる日にふさわしい特別な番組であるという印象を持たせるパワーがあります。 そんな紅白歌合戦に出場するアーティストたちには歌唱やパフォーマンスだけでなく衣装にも気合を入れる人が多く、中には舞台セットと合体しているような大きなものや、豪華絢爛なジュエリーをちりばめたものなど、とても大きな金額をかけたものを用意する人もいるほどです。それに対して普通な衣装で紅白歌合戦のステージに臨んだアーティストも、これまでには何人も存在しています。 紅白歌合戦でも普通な衣装だったと思うアーティストとしてまず挙げられるのは、女性シンガーソングライターのaikoです。彼女はTシャツとジーンズという、普段着のようなラフな格好で出演したことがあるのです。それを見た人の中には着る服が無いのかと思った人がいたということで、事務所に給料を上げてあげてという電話があったというエピソードが彼女自身から語られたことがありました。しかしそれは好きな服を着てテレビで歌うのが夢だったという彼女自身の希望からのことで、等身大の歌詞と親しみやすい雰囲気から、同性に絶大な支持を受ける彼女らしい選択だったのです。 また男性シンガーソングライターの泉谷しげるも、紅白歌合戦のステージでも普段のライブと同じ、黒い革ジャンとジーンズという普段着のような衣装で熱唱したことで話題になりました。これもまた飾らない性格の彼らしいこだわりと言えます。